對馬誠也理事長(以下、對馬):
前回に引き続き、「人間とAI」のテーマで、遠藤さんにいろいろお話していただきたいと思います。これまでの内容を簡単に整理すると、前々回では、前半に遠藤さんのAIとの関係を、後半に少しだけ「人間とAI」に関してお話がありました。そして、前回では、前々回のお話の中で、私が十分理解できなかったことを改めて質問させていただだくため、話の腰を折ってしまいがちになり、申し訳なく思っています。その一方で、私のような素人の読者にとって、遠藤さんとのやり取りは役に立つと思いますので、これからもこんな感じでお付き合いください。
最初に、前回、プロンプトエンジニアリングがこれから重要になることに関して、「従来のプログラミング業務などが減少するのでしょうか」ということをお聞きした際に、遠藤さんから、『「職場や仕事が減る」ということを言われる方と、いやむしろ「職場の内容が変化し、新しい仕事が増える」という方がおられます。この件につきましても、「生成AIの最新動向」を観察した後で、お話しさせてください』というお答えしていただきました。そこで、まず「生成AIの最新の動向」についてお話いただけないでしょうか。
遠藤隆也会員(以下、遠藤):
「生成AIの最新動向」をお話しさせて頂く前に、日々進化している生成AIの現場の実情にどうやって付いていこうかと、日々苦闘している自分の生活をお話させてください。
對馬:
承知しました。遠藤さんの日常の苦闘自体が、AIや生成AIに対する遠藤さんの姿勢を知る上でとても役立つ情報だと思っていますので、よろしくお願いします。
遠藤:
それではお話しさせていただきます。
1.見えている現象の底流を流れるものは:
以前にもお話しさせて頂きましたが、まず、「見えている現象の底流を流れるもの」を探す旅(ジャーニー)に出てみることにしました(図1)。
図1.『表層に見えている現象』,『見えている現象の底流に流れているもの』と『その現象を起こしているオリジン』の説明.
図1に示すように、いくつもの山のように見えているのが,人々が日常に見ている日々変容する多様な『表層に見えている現象』の世界,黄色の部分が『見えている現象の底流に流れているもの』,そして,この黄色の中に点で表されているのが『その現象を起こしているオリジン』を示します.
2.自分の周りの現象、現実、観察の積み重ね:
私は、毎朝、毎朝、入ってくる海外からの生成AI関連のメール情報を一覧して、その中で気になるものを見つけると、このメールを『自分』の『分』にあたる、もう一人の『(AI担当の)自分』宛に転送します。そして、その(AI担当の)自分のメールのGmail受信箱を眺めて、その中で同じような内容の記事(〇〇〇)を集めて、Google Workspace(グーグル ワークスペース)のGoogle Document(グーグル ドキュメント)の中に、例えば「気づきを深める認知科学と〇〇〇入門講座」創りを、自分で自分自身にこの内容を教える気持ちになって、重要と思われる英文記事は翻訳しながら、毎日、いわば『写経』を続けています。
以下に、その活動方法の詳細を説明します。
(1)Google Workspaceの活用
上述の日々の活動を支えているのが、Google Workspace(以下、GWS)で、これは、Google の提供するグループウェアとして利用可能な組織向けオンライン・アプリケーション・セットです。下図に、代表的なアプリケーションセットの例を示します。
図2.GWSのオンライン・アプリケーション セットの例.左側は,普段日常的に使っているアプリケーション セットで,右側は、『自分』の『分』にあたる,もう一人の『(AI担当の)自分』のオンライン ・プリケーション セットを示す.
(2)毎朝もう一人の自分へのGmail
毎朝、毎朝、入ってくる海外からの生成AI関連のメール情報を一覧して、その中で気になるものを見つけると、このメールを『自分』の『分』にあたる、もう一人の『(AI担当の)自分』宛に転送しています。下図に、『自分』の『分』にあたる、もう一人の『(AI担当の)自分』のGmailの受信トレイの一例を示します。
図3.『自分』の『分』にあたる,もう一人の『(AI担当の)自分』のGmailの受信トレイの一例.
(3)もう一人の自分へのGmailの日々の積み重ね
このもう一人の自分へのGmail転送を続けていると、下図のように、生成AIに関連した実務者の情報が集積されてきます。
図4.もう一人の自分へのGmailの日々の積み重ねから集積されてきた,生成AIに関連した実務者の情報集.
(4)Google Documentを使った自分向け講座の作成
Google Document (以下、Google docs)は、文書ファイルをブラウザで作成・編集できるサービスです。Google Docsは、最大100人のユーザーが同時に閲覧・編集・コメント追加などを行えます。誰がどの部分を編集しているのかわかるため、共同作業がしやすく便利です。また、ユーザーごとに[閲覧者]、[閲覧者(コメント可)]、[編集者]の中から選んで権限を付与できるため、文書を管理しやすいのも特徴です。
図5-1.Google Docs のアクセスページ(英語版).
図5-2.Google Docs の作成ページ(英語版).
そして、このGWSのGoogle Docsの中に、(AI担当の)自分のメールのGmail受信箱を眺めながら、その中で同じような内容の記事(〇〇〇)を集めて、例えば「気づきを深める認知科学と〇〇〇入門講座」というように、自分で自分自身にこの内容を教える気持ちになって、毎日、毎日、資料を作成していきます。
図5-3.Google Docs で作成した「気づきを深める認知科学と〇〇〇入門講座」(例).
このような活動を毎日毎日つづけていると、気が付くと、クラウド上のGoogle Docsの中に、自分向けの資料、講座集がつくられていました。
図6.クラウド上のGoogle Docsの中につくられた自分向けの講座.
図7.クラウド上のGoogle Docsの中につくられた自分向けの講座集.
これらの毎日毎日の活動を続けていると、生成AIに関連した技術の最新動向の構造が見えてくるのです。
次回は、「持続的フォローアップから見えてきたもの」についてお話しいたします。
對馬:
まずは、「日々苦闘している自分の生活」についての第一弾をありがとうございます。AIに関する情報が膨大であるために、それをどのように処理をして実生活に役立てるかというのは、現在、国内の多くの人が考えており、同時に、それを実行することはとても難しいとも感じていると思います。
しかし、その一方で、遠藤さんのように、「最新のAI情報を他人に伝えたい」と考えておられる方や、「AIを使った事業にかかわりたい」などと考える方にとっては、膨大な情報を効率的に整理し、使いこなすことは避けて通れないとても重要なのだと思います。そう考えると、今回、「AIに関連して日々流れてくる膨大な情報」を使いこなす一つの方法を遠藤さんが見せてくれているようにも思ました。
過去に、「情報を整理する方法」に関る本が出版されていましたが、遠藤さん流の「膨大なAI情報を整理する方法」という本を書くつもりで、多くの人にお話していただけたらと思います。