googleのクラウド環境を外部脳として使う

對馬誠也理事長(以下、對馬):
 「スローなユビキタスライフ」で実践された取り組みに、「米国西海岸のGoogleクラウド環境を外部脳とし、M-SAKU Networksなど12ドメイン、150サイトを作成・運営、北八ヶ岳苔の会を立ち上げ」たとあります。この取り組みをお聞きするにあたって、最初に基本的なことから教えていただけないでしょうか。
 それは、Googleのクラウド環境を外部脳として使うということについてです。私も日頃からgoogleで検索したり、いろいろなApps(アプリケーション:例えばyoutubeなど)を使って、様々な情報を得ていますが、こうした行為と遠藤さんが言っておられる「Googleのクラウド環境を外部脳として使う」という行為は同じと考えて良いのでしょうか。あるいは、異なるものなのでしょうか。わたしが思うに、おそらく、私たちの使い方とは異なるように思うのですが、その点について教えていただけないでしょうか。

遠藤隆也会員(以下、遠藤):
 Googleのクラウド環境については、いろいろな解釈があると思います。たとえば、企業レベルでは、自社のオンプレミス(memoを参照)のIT基盤をクラウドコンピューティングに変えて、データセンターで超高速なコンピューティングをおこなうとイメージが強いと思います。
 私が言っている「Googleのクラウド環境を外部脳として使う」というのは、私が長野県北八ヶ岳の麓に移った当時に、Googleが トライアル使用をはじめたAppsの使用方法であり、これは日本で初めて試みられたものです。当時、このAppsはトライアル使用のため無料でしたが、その後に名前を変えて、今ではGoogle Workspaceとして有償で提供されています。私のドメイン名のひとつ「msakunet.biz」も、このトライアル使用のためにGoogleにとってもらったドメインです。今では珍しくはありませんが、個人の毎日毎日の「資料作成・記憶・協働作業・共有サイト作成・戦略シナリオ作成など」をすべてGoogleのクラウド環境上で行うことで、あたかも私の外部脳であるかの如く使う方法です。
 その例として、私のホームページにある「Partner Experience HI総合デザイナー(Human activity & Information ecology Ground Designer)/BMX(Business Model Transformation)戦略デザイナーの活動例」に示している「田舎でのスローなユビキタスライフ活動」71のプロジェクトは全て、Googleのクラウド環境を外部脳として活動したものです。そして、お客様・仲間達との協働作業、加えてお客様への納品物までも、この外部脳を使って作業しているのです。

對馬:
 遠藤さんが言われる「外部脳」について、もう少し教えてください。遠藤さんの場合、いろいろな情報がGoogleのクラウドにあるわけです。クラウドにデータを保存している方は結構いらっしゃり、そうした人たちも必要に応じてそれを利用しているとは思うのですが、この中でこれを「脳」と考えている人はまずはいないのではないかと思います。遠藤さんがこれを「外部脳」と呼ぶ場合、「データを保存する単なるクラウドではない」という思いがあるようですが、あえて、クラウドではなく「外部脳」と呼ぶ理由を教えていただけないでしょうか。

遠藤:
 例えば単に「データをクラウドに保存する」ところは、Googleドライブに相当すると考えてみてください。これは「人間の脳の記憶装置」に相当しますので、今では多くの方が普通に使われていると思います。「Google Workspace」には、「Googleドライブ」以外にも、例えば、「サイト」、「ドキュメント」、「スライド」などなどがあります。加えて、「Google Workspace Marcketplace」を追加すると非常に多くのツール類を使えます。  例えば、「サイト」というツールがあります。これはウェブサイト作成ツールで、直感的なインターフェースと簡単な操作でウェブサイトを作成できるようになっています。そして、直感的な編集、テンプレート、複数のページ、Google ドライブとの統合、モバイルフレンドリー、アクセス権限の管理、埋め込みコードのサポート、フォームの組み込みなどの機能を持ちます。この「サイト」を外部に公開すると、いわゆる「ホームページ」に見えます。私は自分自身の「脳」の中での「ニューロン」と「シナプス」を繋ぎ合わせて、新しいシナリオや戦略や創っていく道具として、この「サイト」を、あたかも自分の「外部脳」を構築していくように、毎日、使用しています。

(memo)
オンプレミス:on-premises
 システムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバーやネットワーク機器、あるいはソフトウェアなどを自社で保有し運用するシステムの利用形態。
(出典)docomo Business ICT Business Online