根釧地域の気候区分

(2022年4月執筆/2022年7月加筆修正) 

 気象・気候情報から対象となる作物の生育をシミュレートするモデル(生育モデル)を用いて,栽培管理するために重要な情報,例えば播種期,出穂期,開花期および収穫期や,施肥適期などから,地域を区分する方法があります.ここでは,チモシーの生育モデルから推定した出穂日をもとに,北海道根釧地域を区分した例を紹介します.

 これは,地方独立行政法人北海道立総合研究機構農業研究本部酪農試験場による「チモシー早生品種の1番草の出穂期予測システム」を利用して,北海道根室・釧路支庁管内のチモシー1番草出穂日の分布を推定したものです(図).

 ここで用いられた生育モデルは,根室および釧路支庁管内の農業改良普及センター作況圃場で栽培されたチモシーの生育情報と,同管内の日平均気温と日照時間という気象情報をもとに構築されたプロセスモデル(道総研酪農試験場 草地研究部 飼料生産技術グループ,2020)です.プロセスモデルというのは,作物の生産・生理の素過程を説明するアルゴニズムをいくつも組み合わせたもので,生育期間中の気温と日射量など気象要素から,対象地域で栽培されるチモシーの生育段階を推定するものです.この生育モデルは生育予測にも用いられており,気象要素の予報値を用いることでチモシー早生品種の出穂期を推定すると,実際の出穂期±3日の範囲では50%の確率で,±5日の範囲では70〜80%の確率で出穂期が予想できるそうです.

 このように,チモシー早生品種の出穂日予測から,北海道根釧支庁管内の地域が気候区分されます.

 しかし,このような生育モデルを用いて作物の生育を推定するためには,作物や作目,あるいは品種ごとに生育モデルの構築しなければなりません.また,このモデルは,複雑なアルゴニズムとパラメータから構成されているので,測定に手間のかかる生育情報と気象や土壌などの環境情報,そして,施肥や湛水などの栽培管理情報などの取得が必要となります.さらに,この生育情報や環境情報の取得とパラメータのを取り扱うには,それに関わる専門知識が必要となるのです.

 一般的な農家さんが取り扱うには,かなりハードルの高いものといわざるおえません.