湿度のおはなし(その1.相対湿度)

 みなさんは、日頃、「今日は肌が乾燥してカサカサしているな」、あるいは「なんかジメジメしているな」と感じることがあるのではないでしょうか。これは空気が乾いているか、湿っているか、すなわち、大気中に含まれている水蒸気量が少ないか、多いかによります。
 大気中に含まれている水蒸気量を表す方法に湿度があります。この湿度には様々な表し方がありますが、天気予報や日常生活でよく見るのは、大気中に「最大限に含むことができる水蒸気量」に対する「実際に含まれている水蒸気量」を百分率で表したもの、すなわち、相対湿度(%)と呼ばれているものです。また、大気中に「最大限に含むことができる水蒸気量」は飽和水蒸気量(g/m3)といいます。

図1.気温(℃)に対する飽和水蒸気量(「大気が最大に含むことができる」水蒸気量)(g/m3)の変化.黒の実線は,気温に対する飽和水蒸気量の変化を示す(Tetens, 1930の式より).気温が高くなると,飽和水蒸気量が指数関数的に大きくなる.

 この飽和水蒸気量(g/m3)は気温が高くなるとともに指数関数的に増加する(図1)ので、相対湿度も気温によって変化します。例えば、夏の朝、気温が25℃、大気中に「実際に含まれている」水蒸気量が23.5g/m3だったとします。この時の相対湿度は、図1から気温が25℃の時の飽和水蒸気量が23.5g/m3とわかるので、(23.5/23.5)✕100=100(%)となります。この日は晴天で、午後1時40分ころに最高気温が33℃に達しました。大気中に含まれている水蒸気量が朝から変化しないと仮定すると、気温が33℃の時の飽和水蒸気量は35.6g/m3なので、相対湿度は(23.5/35.6)✕100で64.7%となります。実際には、朝から午後1時40分ころまでに、地表面からの蒸発や植物からの蒸散、また乾いた空気や湿った空気が流れてくる可能性があるので、大気中に含まれている水蒸気量が変わらないと仮定するのは難しいのですが、気温のみが変化しても相対湿度は変化することがわかります。
 このように、気温によって変化する相対湿度ですが、私たちが感じる湿気、あるいは洗濯物を外干しする感覚にとても合致する表現方法であることから、日常生活や天気予報などでよく使われます。
 しかし、トマトやイチゴなどの作物をハウスで栽培している生産者の方々にとっては、気温によって変化する相対湿度を使うと、ハウス内で栽培している作物が必要とする水の量を正しく把握できないので、灌水のタイミングを逃すなど水管理に支障をきたすことがあります。そこで、「大気中に含まれている水蒸気量」そのもので水管理を行っています。この表現方法を絶対湿度と(g/m3)いいます。

 次回は、絶対湿度のお話から始めましょう。